次世代のトレンドを作るのは、貴方のアイデアかもしれない。
いきなりマニアックな話題ですみません。1965年から1966年にかけてイギリスで放映されていたSF人形劇「サンダーバード」をご存知でしょうか?
日本ではNHKがおよそ1年遅れで放映していたそうなので、私が初めて見たのは何回目かの再放送という事になります。
舞台となっている時代は2026年頃もしくは2065年頃(論争があるようです。)ですから、近未来ものと言えるでしょう。
世界で初めて月面に降り立った元宇宙飛行士のジェフ・トレーシーは、その後実業家に転身。巨万の富を得ました。また世界でも一二を争う超天才科学者兼技術者のハイラム・K・ハッケンバッカー博士(通称:ブレインズ君)や、かつての同僚の協力を得て、人命救助を目的とした秘密組織「国際救助隊」を発足させます。
細かい話は、実際にDVDをレンタルして見てもらうなりして頂くとして、今回の話の本論は、1965年当時に「近未来」として描かれていた世界と、現実の今の世界を比較してみたいと思ったのです。
すると、驚くほど「現実の科学技術が進歩している」ことと、製作者側が驚くほど真面目に未来予想をしていることが明確になります。
例えば…番組の中では「公衆電話」が良く出てきます。(いまどき、公衆電話なんて、ほとんど見かけなくなりましたよね。)でも、その公衆電話は「カメラ付テレビ電話」なのです。
何とも、中途半端に予想が的中しているような、外れているような、微妙な気分はさておき、重要なのはその後。このTV電話システムには「画像・映像を送らない」という機能が装備されており、つまり匿名での電話の場合、相手方画面には「Sound Only」という表示が出て、音声しか伝わらない。
これって、もし本当にTV電話が当たり前になったら絶対に必要な機能ですよね!
そういう意味では「よく考えているなぁ…」と、とても感心してしまうような描写が各所にちりばめられています。
もうひとつ、ハッケンバッカー博士が学会で発表するため、サンダーバード秘密基地を留守にする話が有ります。当然、いつ何時、災害が発生するかわかりませんから、ブレインズ君は「通信機」を持って出発するわけですが、この「通信機」が「腕時計」なのです。
さて、何事も起きないと話になりませんので、当然、災害が発生して窮地に陥った人々を助けるべく、国際救助隊のスーパーマシンが出動し救助に当たるのですが、実は、救助の手順など細かいところでブレインズ君が指示を出しています。
腕時計に向かってね。
そして、それを見た周囲の人はブレインズ君の事を「少々精神を患っている気の毒な方」と理解します。
ええ、2026年頃、下手をすると2065年頃でさえ、腕時計に向かって話しかけるのは「心や精神に何らかの問題を抱えていらっしゃる方」と思われる行為なのですね。
ちなみに、この後でブレインズ君の身元引受人?として現れたミス・ペネローブの持つ通信機は「お化粧用のコンパクト」でして、コンパクトに向って話しかけるミス・ペネローブを見て、周囲の方々は、やはり「少々精神を患っている気の毒な方」と理解するというオチです。
でも、現実世界では、アップルウォッチやスマートウォッチの出現で腕時計に話しかける時代が、10年から50年ほど早く到来してしまいましたね。
「あまり売れてないという噂がありますけど!!!」
さて、価格面とか機能面とかデザイン面とか、現在のスマートウォッチの持つ「売れない理由」は色々ありますが、私が考えるところの一番のネックは「稼働時間」かなぁ、と思うのです。
正直な話、24時間程度で電池が切れる腕時計は(他に各種機能があったとしても)面倒です。
はい、わたくしマリオは面倒くさがりですから。
もうひとつ脱線させてください。
やはりこれも1965年頃にアメリカで放映されていたスパイコメディ「それいけスマート」
2008年にはスティーヴ・カレル主演で「ゲット・スマート」という映画にもなったアレです。
このドラマの主人公スマート氏は世界の平和を守ることを目的としたアメリカの諜報部のスパイさんです。
そして、スパイ物には「スパイの秘密道具」が必要不可欠ですね。スマート氏の無線通信機は革靴の底に仕込まれています。
つまり、革靴を脱いで、普通の電話機のように耳に当てがって通話するのですね。
ちなみに、右足は通信機。左足は留守番電話です。
子供心に私は「所謂ところの携帯電話に留守番電話なんか必要ないだろ!」と爆笑ネタだったのですが、今では、携帯電話の留守電機能って、当たり前ですよね。
科学技術の進歩と、世の中の流れは、私たちの想像をはるかに超えるスピードで移り変わります。
「そんなもの、誰が使うんだよ。」「そんなもの、誰が必要とするんだよ。」というアイデアも、もしかすると次世代では「当たり前に必要な機能」になっているかもしれませんね。